【火災】火災戦術の基本
今回は火災戦術の基本について書いて行きます。
火災が起きている建物に対してどのような戦術を選択するか?
重点に書いて行きます。
(`・ω・´)ゞ
火災の優勢と劣勢
・消防力
消防力という言葉を聞いたことはありますか??
【消防力】
・隊員
・水利
・施設(車両・資器材・消防施設)
この三つの要素の事です。
この消防力が火災に対して優勢か劣勢かによって取るべき戦術が変わってきます。
大きく2つの戦術に別れます。
・攻勢防御
・守勢防御
それぞれの特徴を見て行きましょう!!
・攻勢防御
【攻勢防御】
消防力が火災に対して優勢な場合、一挙に火災の鎮圧に重点を置くものです。
火災がまだ初期段階であり、現在の消防力で叩けると判断したときに選択します。
どういう状況か例を上げて行きます。
(`・ω・´)b
火災がまだ初期の段階でタンク車(水を積んだ車)が現着できた。
通報者が消火器で初期消火を試みており、積んであるタンク水のみで消火可能であると判断した。
屋内侵入を行い放水を行う。
無事鎮圧した。
こんな感じです。
ポイントは確保できている水量、隊員のスキル、火災の状況によって一概に上記の攻勢防御が正しいとは言えなくなります。
しっかりと判断していきましょう!!
・守勢防御
【守勢防御】
消防力が火勢に対して劣勢な場合、火災の延焼防止に重点を置くものです。
火災が最盛期に近く、周囲に延焼の危険が大きいと判断したときに選択します。
例を上げて行きます!!
(`・ω・´)b
現着したが本宅の火災は最盛期の状態で建物全体が炎で囲まれている。
風も強く直ぐ側の別宅まで火の手が伸びようとしていた。
逃げ遅れはないと情報が入っている為延焼防止を最優先に当たる。
別宅および周りの建物の延焼は防ぐことが出来た。
特に木造建物火災は延焼のスピードも速く倒壊の危険性も高いため守勢防御を取る場合が多いです。
延焼防止を最優先にするために燃えている建物に水を掛けていないと批判されることもありますが考えて隊員も行動しています。
火災戦術の種類
基本的な火災戦術の種類を書いて行きます。
PPV戦術などは別な機会に書きますのでお楽しみに!
火災戦術は基本的に5種類あります。
① 包囲戦術
② 挟撃戦術
③ 街区(ブロック)戦術
④ 重点戦術
⑤ 集中戦術
それぞれの特徴と筒先の配備の仕方を見て行きましょう。
(`・ω・´)ゞ
矢印が筒先の方向になります。
① 包囲戦術
建物の四方を筒先で囲み炎症阻止、一挙鎮圧を狙います。
消防力が優勢な状態です。
先着隊、支援隊がほぼ現着して放水を開始しているイメージです。
② 挟撃戦術
建物を挟み込むように筒先を配備します。
先着時に用いることが多いです。
この2口以上放水に特化したのが渋消式消火戦術です。
③ 街区(ブロック)戦術
道路が延焼防止帯として考えた戦術です。
風の向きなどにより当然変わります。
【角火災】
道路の角に面している場合にとる基本的な放水体系です。
隣接する建物への延焼を防ぎます。
【面火災】
道路に対して上、左右に建物が隣接している時に選択します。
【内面火災】
建物に囲まれている真ん中で起きた火災で選択します。
風向きを確認し風下に延焼防止の筒先を配備します。
後着隊は火勢に応じて包囲戦術体系等を取ります。
個人的には糸魚川市の大規模火災が記憶に新しいです。
日本海に接している国道8号まで燃え尽きています。
おそらくこの国道8号の先にまだ建物があれば延焼は続いていたでしょう。
参考:糸魚川市大規模火災(消防白書)
④ 重点戦術
火災から社会的、経済的等、重要な施設(文化財等)を守備することを重点とした戦術です。
滅多に戦術として取られることはありません。
⑤ 集中戦術
石油コンビナート等、各隊が集中して一挙に鎮圧を図る戦術です。
まとめ
今回は基本的な火災戦術について書いて行きました。
どちらかといえば今回紹介した火災戦術は木造建築物を主眼として活動する従来型です。
現在は一般住宅でも密閉性が高く包囲戦術で水を掛けていれば良いという火災は減ってきています。
その辺りは次回書いて行きたいと思います。
何事も先ずは基礎からやっていきましょう。
(`・ω・´)b
近いうちに燃焼物(木造、耐火、車など)によっての火災の特徴を書きたいと思っています。
ここで書く予定でしたが長くなるので諦めました(´;ω;`)
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おまけ
俺はP助22歳、今日は出張所のポンプ隊と救急隊を兼任している。
出張所は3人、隊長、隊員、機関員で構成されている。
もう朝方になるのだが比較的にXYZ広域全体が静かで我が出張所に至っては出動指令がまだない。
中々珍しい!
こんな日は滅多にないのだ!
おかげで事務処理や個人的な勉強も捗っている(笑)
隊長、機関員さんも起きてきた。
朝のコーヒーとお茶お入れてそれぞれに出す。
どっちか統一してくれるとありがたいけどな~。
(;’∀’)
そんなことを考えながら隊長に声を掛ける。
「隊長!!今日は完封ですね!!滅多にないな~こんな日!」
(`・ω・´)b
完封という言葉を口にした途端、隊長がちょっと声を荒げる(笑)
「P助君!!完封とか思っても口にしちゃだめだよ!!そういう事いうとロクなことに…。」
その時だ!!
『プープープー予告指令W市、W地内で火災、建物入電中。』
「ほら!!言わんこっちゃない!!W地内っていったら先着隊は内だ!!いくぞ!!」
「「了解!!」」
素早く防火衣を着用しタンク車で出動する。
「W市W123番地、木造二階建て建物延焼中、逃げ遅れはなし、隣接している建物は母屋があるとのこと。以上消防」
指令室から火災の情報が入る。
それを聞きながら、けたたましいサイレンを鳴り響かせ機関員は火災現場へ直行する。
呼吸器を背負い終え地図を出しながら水利部署と隣接している建物を確認する。
「P助!内は先着隊だがおそらく消防団が水利部署してると思われる。
うち等は現場に直近部署し隣接している建物の延焼防止に当たる。
風向きを見てもここが延焼したらかなり不味い!
65㎜ホース延長、分岐かまして50㎜ホースだ!!
機関員!タンク水弾くぞ!!
俺は一周火災現場を確認するからお前は延長して放水準備だ!!」
「「了解!!」」
どのくらいホースを伸ばすか段取りし現場に到着した。
火災は最盛期だ!!
二重巻きとホースバックで延長し段取り通り延長する。
今にも隣接している母屋が延焼しそうだ!!
余裕ホースを取り放水準備完了!!
無線で機関員さんに放水開始を伝える。
先ずは延焼を阻止したい建物に注水し建物の温度を下げる。
こうすることで延焼を阻止することができる。
そうしている間にも指揮隊と後続隊が到着した!!
消防力が火災に対して優勢になり無事に鎮圧まで至った。
ここからは鎮火作業だ!
とび口を持って鎮火作業をしながら火災の書類の段取りを考えている俺であった。
シカゴファイアでもありましたが完封とかゼロとかは魔の言葉扱いされるときがあります(笑)
あまり言わないようにしましょう!!