【救助】酸欠事故救助の基礎知識

お疲れ様です!
よろずです(`・ω・´)b

今回は酸欠事故について簡単に書いて行きたいと思います!
特徴と気を付ける点を覚えて行きましょう!

・酸欠事故とは??

酸欠事故とは酸素欠乏症により発生する事故の事です!

酸欠事故は大きく分けて二種類あります。
 ↓
・酸素欠乏症による酸欠事故
・硫化水素中毒の発生を伴う酸欠事故

事故の原因となる酸素欠乏症とは??

酸素欠乏症とは、空気中の酸素濃度が18%未満の状態になり、必要とされる酸素を体内に取り込めないことにより生じる症状のことをいいます。
脳は酸素を二分以上の無酸素状態で治らないダメージが始まり蘇生できても重篤な障害が残ります。

意外と当てはまる場所も多く下記のような場所で実際に事故が発生しています!

死亡率は?

一度事故が発生すると酸素欠乏症の死亡率は60%とかなり高く、倒れた人を助けに行こうとした仲間も酸欠事故にあう二次被害も多くみられます
大変危険なので装備が無い状態で助けに行くことは辞めましょう!

・酸欠事故が起きる原因と場所

>原因

換気不良が起きやすい閉鎖的空間(例えば古井戸、タンク、ガス管など)で対策をしないまま工事などをしている時に発生します。

対策という点で一番怠っていけないのは酸素濃度の計測です!

事故が発生する原因で一番多いのは計測を怠った事例が最多となっています!
僕は私は大丈夫だろう精神は大変危険です!!

資料は厚生労働省

>起きやすい場所

浄化槽の中で硫化水素中毒になり死亡

換気が悪い所は特に注意!!!
 ↓
・マンホールなどの事故
・発酵タンク
・穀物サイロ
・基礎抗
・トンネル
・船倉タンク(バラストタンク)
・ボイラー
・鉄の鋳鉄などなど

例えば錆やカビが酸欠の原因になっています。
古井戸や錆びているタンク、バラストに入るときは特に注意です。
(`・ω・´)b

>発生の原因

①酸素が消費される

【化学反応】

・金属の酸化
・乾性油(食用油など)や塗料の酸化
・内燃機関(いわゆるエンジン)や燃焼器具などによる酸素の大量消費や一酸化炭素の大量発生

上記の状態に当てはまる場所で作業する場合は酸素濃度を要チェックです。
(`・ω・´)b

例えば??
 ↓
・鉄製タンクの内部
・タンカーの内部清掃
・貨物船のバラスト
・石炭や鉄くずの貯蔵庫
・アマニ油などの乾性油や魚油

特に鉄が関係する場所は酸化が進み酸素濃度が著しく低い場合があるので頭に叩き込んでいきましょう!

【生物の呼吸】

・微生物の呼吸
・野菜、穀物、木材の呼吸

中学生の理科の時間で習いましたね!
呼吸によって酸欠になることも多いので覚えておきましょう!

例えば??

・バナナの熟成させる貯蔵庫
・豆、とうもろこし、魚かす
・もやし、麦芽の製造
・発酵食品を作る工場
・コメに発生したカビ
・井戸(概ね3ヵ月使われていない)
・原木や木材の切りくず貯蔵庫
・下水や汚物層、マンホール等
 ↓
炭酸ガスだけではなく硫化水素やアンモニア、メタンガスも発生する。

【部屋が無酸素になる】

部屋が無酸素??現実的にそんなことありえあない!!
そう思う方もいるかもしれません。

可燃性ガスや不燃性ガスが生活の一部に浸透しています。
その中でガス漏れなどにより内部の酸素濃度が低くなり酸欠事故に繋がる場合が増えてきています。

窒素、二酸化炭素、アルゴン、フロン
上記が特に事故の発生が多いガスです!!
ガス本来は無味無臭なので臭いを付けてガス漏れを分かりやすくしている場合も多いですね!
(^_-)

例えば??

・ドライアイス貯蔵庫
・冷蔵、冷凍庫
・冷蔵、冷凍貨物車
・船倉、コンテナ内部
・圧力計
・りんご貯蔵施設
・フロン洗浄設備

②硫化水素の発生

【そもそも硫化水素とは?】

温泉街でよく嗅ぐ香りが硫化水素です!
ドクターストーンでは敵が死ぬシーンがありましたね!
濃度や状況によっては現代社会でも亡くなる場合があります。

写真はドクターストーンから

身近なところだとおならや汚物層、下水、マンホールなどで発生します(笑)
意外と身近な場所に居ますね(;’∀’)

【硫化水素の特徴】

・腐乱臭
・無職の気体
・可燃性の気体である
・空気より重い(比重:1.19)
・くぼみに溜まりやすい
・水に溶けやすい
・金属を腐食させる
・眼や呼吸粘膜に強い刺激性を持つ二酸化硫黄を発生

【発生しやすい場所は??】

・海水が滞留していおり、若しくは滞留していたことがある熱交換機
・管暗きょ、マンホール、もしくはピット
・し尿、腐泥、汚水、パルプ液(紙の材料となる液体)を分解しやすい物質を入れているタンクなど

海水やし尿がポイントですね(`・ω・´)b
労働安全衛生法施行令 別表第6に詳しくは記載されてます!

【硫化水素中毒】
画像を押すと元リンクに飛びます!

硫化水素は水に溶けやすい性質がある為まずは目や鼻に刺激が入ります。
違和感を感じたら確認しましょう!
硫化水素は感覚が慣れてしまうので違和感を感じたらすぐにチェックです(`・ω・´)b

酸素欠乏症による身体の変化

酸素欠乏症になると身体がどう変化するか見て行きましょう!
酸素濃度は測定器を使わなければ見れません!
濃度が分からない状態で侵入を試みるのは辞めましょう!

画像はシゲマツ情報局から

酸素欠乏している作業場での酸素濃度活動限界は18%
勘違いしてはいけないのは活動限界とは空気呼吸器、安全帯、連続換気など安全を確保して作業できる限界の事です!
なので空気呼吸器を付けていれば絶対に安全というわけではありません。
(;’∀’)

酸素濃度
 ↓
・18%以上が活動限界
・16%以下から症状が出始める
・10%以下からは死の危険が生じる
・ 6%以下から即死の可能性(;’∀’)
ざっくりでいいので数字は覚えておきましょう!

事故としては酸素欠乏症+墜落事故による外傷が多いです!
安全確保の徹底を(`・ω・´)b

特に倒れた仲間の様子を見に行って無酸素空気を吸ってしまい倒れてしまう事例もあります。
気を付けましょう!
脳は酸素を貯めることが出来ない為酸欠状態になり倒れるからです。

酸欠危険場所での救助

>救助時の注意点

いままで書いたことの復習になります!

・無防備で飛びこまない。
・空気呼吸器、送気マスクの着用(防塵、防毒マスクは使用不可)!
・事故現場の十分な換気をする。
・換気をする際は純準酸素を使用してはならない。
・暗い場所では可燃性ガスがあることを考慮し防爆構造の懐中電灯やヘッドライトの使用する。
 (スイッチを入り切りした時や高温になった部品が点火源となり爆発する可能性あり。)
・墜落による高エネルギー事故も視野に入れて活動する。
・応急処置としては風通しの良い場所に搬送し回復体位をとる。
・衣服を緩め、呼吸を楽にする。
・意識、反応、普段通りの呼吸がない場合は心肺蘇生法を実施する。

>救助操法(引用)

第二節 立て坑救助操法

(操法の開始)
第二一五条 立て坑救助操法を開始するには、次の号令及び要領による。
一 指揮者は、「操作始め」と号令する。
二 一番員は、前号の号令でロープ三本、カラビナ及び保護布を立て坑からおおむね二メートルはなれた位置に搬送する。
三 二番員は、第一号の号令で予備ボンベ、ロープ一本を立て坑のそばに搬送する。
四 三番員は、第一号の号令で空気呼吸器を立て坑からおおむね二メートルはなれた位置に搬送する。

旧一二三条…繰下〔昭和六三年一二月消告六号〕

(進入準備及び応急処置)
第二一六条 立て坑への進入準備及び要救助者に対する応急処置を行うには、次の号令及び要領による。
一 指揮者は、「進入用意」、「ボンベおろせ」と号令し、三番員の空気呼吸器の着装及び身体結索の状況を確認して「よし」と合図する。
二 一番員は、前号の「進入用意」の号令でロープを解いてその一端に第百十六条第一号に定める要領で、二重もやい結びをつくり、ロープをその場に置き、他のロープを解いてその一端で第百十四条第六号に定める要領で、空気呼吸器本体を結索して「呼吸器よし」と合図し、三番員の確保ロープをもつて確保姿勢をとり、「確保準備よし」と合図する。
三 二番員は、第一号の「ボンベおろせ」の号令でロープを解いてその一端に第百十四条第七号に定める要領で空気ボンベを結索し、空気ボンベのそく止弁を開いて立て坑内に静かにおろして「ボンベよし」と合図し、ロープを整理する。
四 三番員は、第一号の「進入用意」の号令でロープを解いてその一端で第百十六条第一号に定める要領で身体結索を行い、結索したロープの胸部の結び目の上に、第百十二条第三項第四号に定める要領でフユーラー結びを作り、この結びの輪にカラビナをかけ、安全環を確実にしめ、次いで空気呼吸器のそく止弁を開き圧力を確認して「圧力○○メガ」と呼唱し、第十四条第二号に定める要領で面体を着装する。

旧一二四条…一部改正し繰下〔昭和六三年一二月消告六号〕、本条…一部改正〔平成一一年九月消告九号〕

(進入及び発見時の処置)
第二一七条 立て坑内に進入するには、次の号令及び要領による。
一 指揮者は、進入隊員の状況を確認し、第六条第五項に定める信号要領を指示したのち、「進入」と号令する。
二 一番員は、前号の号令で三番員の進入行動にあわせて確保ロープを操作し、三番員のロープによる「よし」の合図を受けたときは、同様にロープによる「よし」の合図をかえすとともに、「到着」と合図する。
三 二番員は、第一号の命令で空気呼吸器本体をもつて三番員とともに坑口にいたり、三番員の進入にあわせて空気呼吸器本体を吊りさげておくりこみ、三番員の行動にあわせてロープを操作する。
四 三番員は、第一号の「進入」の号令を復唱し、静かに坑内に入り、身体が坑内に入つた位置で、はしご横さんに確保ロープのカラビナをかけて安全環を確実にしめ身体を確保したのち、空気呼吸器本体を受け取り、第十三条第二号に定める要領で本体を着装し、身体の確保を解いて坑底におり、確保ロープで「よし」の合図をおくり、空気ボンベを要救助者に近よせるとともに、応急処置をとる。

旧一二五条…繰下〔昭和六三年一二月消告六号〕

(救出)
第二一八条 要救助者を坑内から救出するには、次の号令及び要領による。
一 指揮者は、三番員の坑底到着を確認して「救助ロープおろせ」と号令し、二番員から空気呼吸器吊りさげのロープを受け取つたのち、「救出用意」と号令し、一番員から確保ロープを受け取つて確保姿勢をとり、二番員の「始め」の合図で「救出始め、ロープ引け」と号令し、確保ロープ及び空気呼吸器吊りさげロープを操作し、救出を確認して「救出おわり」と号令する。
二 一番員は、前号の「救出用意」の号令を復唱し、確保ロープを指揮者に渡して救助ロープをもち、前号の「救出始め、ロープ引け」の号令で、二番員と協力して静かに要救助者を引き上げ、坑外に救出し、救助ロープを解く。
三 二番員は、第一号の「救助ロープおろせ」の号令で空気呼吸器吊りさげロープを指揮者に渡し、救助ロープをもち、坑内に「ロープ」と合図して、二番もやい結びをしてある方を坑底におろし、三番員からロープによる「始め」の合図を受けたときは、同様にロープによる「始め」の合図をかえすとともに、「始め」と合図し、同号の「救出始め、ロープ引け」の号令で一番員と協力して静かに要救助者を引き上げる。
四 三番員は、おろされた救助ロープで、要救助者を第百十六条第一号に定める要領で身体結索し、このロープで「始め」の合図をおくり、ロープの引きにあわせて、要救助者をかかえるようにしながら静かにはしごをのぼる。

旧一二六条…一部改正し繰下〔昭和六三年一二月消告六号〕

(退出)
第二一九条 坑内に進入した隊員を退出させるには、次の号令及び要領による。
一 指揮者は、三番員がはしご横さんに身体を確保したのを確認して、一番員に確保ロープを、二番員に空気呼吸器吊りさげロープを渡したのち、「退出始め」と号令する。
二 一番員は、指揮者から確保ロープを受け取つて確保姿勢をとり、前号の号令で三番員の行動にあわせてロープを操作する。
三 二番員は、指揮者から空気呼吸器吊りさげロープを受け取り、第一号の号令で、ロープを操作して三番員の退出に協力する。
四 三番員は、坑口のすぐ下ではしご横さんに確保ロープのカラビナをかけ安全環を確実にしめて身体を確保し、第十七条第二号に定める要領で空気呼吸器本体をはずし、坑外に退出したのち面体をはずす。

旧一二七条…繰下〔昭和六三年一二月消告六号〕

(収納)
第二二〇条 器具を収納するには、次の号令及び要領による。
一 指揮者は、「おさめ」と号令する。
二 一番員は、前号の号令で救助ロープ及び確保ロープを整理してもとの位置に置き、集合線にもどる。
三 二番員は、第一号の号令で坑底の空気ボンベを引き上げ、結索を解いてロープを整理し、空気ボンベ及びロープをもとの位置に置き、集合線にもどる。
四 三番員は、第一号の号令で確保ロープを解き、空気呼吸器をもとの位置に置き、集合線にもどる。

旧一二八条…繰下〔昭和六三年一二月消告六号〕

という形で救助操法が制定されています。
特別救助隊になれば必ず覚えることになります。
実際の救助現場では便利なマンホール救助器具やRESCUEフレームを使うのでより早く救助することが出来ます。

二重もやい身体結束が生きるのがこの救助です(笑)

まとめ

酸欠事故は意外と身近に存在します!
こういう作業に携わるときは必ず酸素濃度を測定しましょう!

もしも、
二名以上倒れている現場を見かけたら近寄らないこと。
酸欠事故など不用意に近づくと可能性があるからです!

まずは消防署に通報しましょう!!

参考

労働衛生対策の基本
⑫酸素欠乏症とその対策

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpo21/sarchpdf/88_roudoueisei_taisaku.pdf

総務省消防庁
消防救助操法の基準

https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/post16/#h4-3-2

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